2009年12月28日

An Interim Presentation

私たちの研究グループでは、先週12月24日、修士論文・卒業研究の中間発表会が行われました。お隣の道奥研究グループとの合同開催です。わたしのグループの発表題目は以下の通りです。

橋本翼(M2):河道位数を基軸とした統合的流域環境評価
門田朗(M2):親水整備河道における集中豪雨時の段波発生条件の確立

盛岡淳二(B4):確率過程による河道内樹林の動態予測モデル
米田誠也(B4):GIS解析に基づく世界の大河川の水系ネットワーク解析
前羽洋(B4):将来の気象変動が流域河川水温に及ぼす影響評価
森本皓一(B4):集中豪雨時の急勾配親水河道における段波発生メカニズム

来春に向けて、よい研究成果が期待できそうです! 

2009年12月23日

San Francisco 2009


先週の1週間、アメリカ・サンフランシスコで行われたAGUの秋季大会に参加してきました。年末に行われるこの会議に参加しはじめて3年です。

このたびは、橋本君と研究している【流域解析】の検討結果を発表してきました。ポスター発表です。議論を通してある程度面白そうなアイデアも浮かびましたので、まずはよかったと思ってます。英語ではどうしても舌足らずの説明になってしまいますので、もっとしっかりと準備しておくべきだったとの後悔もあります。次回はきちっとしたいと思っています。

この時期、街はクリスマス一色でした。サンフランシスコの街もきれいなイルミネーションに彩られていました。

来年は、夏までにしっかりとした研究成果を多くだして、余裕があれば研究室の学生諸氏と一緒に参加したいと考えています。

2009年12月7日

River Basin Observation in December 2009

11月の下旬から12月初旬にかけての3日間、揖保川の定期観測に出かけてきました。雪が降りつもるまでの、今年最後の観測です。このたびも、この研究テーマを担当する中山君,前羽君と一緒です。

揖保川流域では、ちょうど秋の紅葉が真っ盛りで、色とりどりの山模様がたいへん綺麗でした。山間の観測地点では、たくさんの落ち葉が川を流れていました。このような風景をみると森林からの栄養塩負荷も、季節によっては案外と多いことが容易に想像されます。

このたびは、春に苦労して設置した源流の水温データをはじめて回収してきました。どのような水温変化が記録されているのか。解析がひじょうに楽しみです!

次回は雪解けを待って、春先に流域に出かける予定です。

2009年12月2日

December, 2009

12月,師走です! 一年の締めくくりの月ですね.

神戸ではルミナリエが3日よりスタートします.はじめてのルミナリエ,わたしは当時,神戸貿易センタービルの高層階で仕事をしていました.ちょうど,はじめて灯りが燈った瞬間,その眩い光にずいぶんと勇気づけられた記憶があります.

この冬は阪神・淡路大震災から15年です.わたしたちの周りの学協会でもいろいろと行事が催されるようです.震災の記憶を風化させることなく,今後も語り継ぐことが重要です.

さらに地震に限らず,近頃は台風や洪水など極端な気象現象による災害が頻発するようになってきています.いざという時に自分や家族,そして地域社会を守れるように,日頃から意識を高めることがとても大切だと感じます.

さて,この12月のテーマは【自己評価】にしたいと思います.

2009年11月25日

Thesis Title

わたしの所属する市民工学専攻では,修士論文の題目提出の締切が近づいてきました.

今年度、わたしの研究グループでは3人の大学院2年生が修了予定です.さらに,4人の学部生が卒業予定です.

それぞれに、題目案,目次,構成をもって相談に来てくれます.研究はいよいよラストスパート、踏ん張りどきですね!

目次の構成をみると,みなさん立派な論文になりそうな予感です.是非頑張って良いものを仕上げ,流域環境課題に関する新しい知見を、私たちの研究グループから社会に発信していきたいものです.

2009年11月23日

Budget

行政刷新会議の事業仕分けが話題になっています。国家予算を決めるにあたって透明性を高めることは、非常に意味があることだと思います。

しかし、わたしたち大学人に関係あるところでも,次世代スーパーコンピューターなど先端科学技術の開発を無駄とする仕分けも、次々になされています。 本当に、こういった科学技術開発は無駄なのでしょうか?

わたしたちは、普段の生活の中ではほとんど意識することなく、科学技術や社会資本の恩恵を受けています。例えば、日々の天気予報の精度やウェブを介した情報検索などは、わたしが子どもの頃と比較するとほんとうに格段の進歩をとげています。

これらはまさしく、その時々の最先端の科学技術を基礎として開発されたものでしょう。職業的専門性を兼ね備えた専門家集団が、継続的に、地道に新しい知見を積み上げていった結果として、その成果が社会に還元されていく類のものだと思われます。

日本は、世界の中で先進国といわれる豊かな国のひとつだと考えられます。このような最先端の科学技術開発を牽引することも、将来にわたる豊かな社会を形成するにあたり、わたしたち日本人に課せられた社会的使命の一つだと感じます。

2009年11月1日

November, 2009

11月,霜月(しもつき)です.霜がおりる季節です.紅葉もまた美しいですね!
この月は2つのイベント,1つの英語の原稿をかかえています.

11月14日(土)はFCCフォーラムです.【災害後の自助・共助】を議論します.今回のテーマは,私の専門である水工学からは少しはずれて,震災を想定しています.阪神・淡路大震災から15年ということですね.河川災害でもまったく同様の議論になると考えています.ご興味のある方は,こちらから.大阪・梅田の開催ですので,お時間のある方は是非どうぞ!

11月27日(金)は研究室同窓会です.今年は幹事学年で,現在いろいろと段取りしています.毎年,同じ時期に開催しているのですが,今年はどのくらい集まるのでしょうか? 特に,若い人が多く参加していただけるのを秘かに期待しています.同窓の皆さんにお会いできるのが楽しみです!

英語の原稿は10月からの持越しです.もう遅らせることはできません.集中して頑張ります!

******* この霜月のテーマは【感激】にしたいと思います.*******

2009年10月31日

Home Coming Day

今日,神戸大学では ~ホームカミングディ~ 全学的な同窓会の日でした.工学部でも,キャンパスツアーや学生による研究発表などの企画がありました.

市民工学科の学生発表は,鍬田先生とわたしの研究室で担当しました.

わたしの研究室の発表は【流域水温】の内容です.中山君,前羽君がパワーポイントとポスターを作成し,先輩に説明しています.私もポスターを一見しに行きました.ビジュアルも良く,きれいに出来上がっていたと思います.

いろいろな意味で同窓の繋がりはとても大切だと思います.今年で4回目になるホームカミングディ.今後ますます重層的に発展していくようにしたいものですね.

2009年10月22日

Lab Seminar Started, Fall 2009

今日から秋の研究室全体ゼミがスタートしました。【全体】とついているのは、道奥教授とわたしの研究グループが合同で開催しているためです。運営は大学院修士1年生の石田君と大地君です。

今日の話題提供者は、宮本研究グループ修士2年生の橋本君と中山君のお二人です。彼らはともに流域環境のテーマを研究課題としています。橋本君は地形情報を、中山君は河川水温を主軸として研究を鋭意展開中です。

大学院も修士2年生のこの時期になると、すこし纏まったゼミ資料になるのだな,と今日は感心しました。勿論、詰め切れていない宿題が山のようにあるのは、当然です。

これから冬・春先に向かって、大学では研究本番ですね! いまの位置から学生諸氏と一緒にどこまで伸びていけるのか、非常に楽しみです。研究室全体でうまく波に乗りたいものです。

2009年10月14日

2009 World University Rankings

先日,新聞を読んでいると,2009世界大学ランキングの記事が載っていました.
わたしたち神戸大学は218位でした.

世界一位はアメリカのハーバード大学,日本では東京大学が22位,京都大学が25位となっていました.

どういう基準で順位付けされているのか,詳しくは分かりませんが,神戸大は2006年度以降,181→197→199→218と順位を落としています.

構成員のひとりとしては悔しい限りです.もっと研究・教育という本務に集中して,真摯に頑張らねばと思います.

2009年10月1日

October, 2009

10月になりました! 大学では今日から後期,秋学期のはじまりですね。

今、夏に院生対象で開講された集中講義,【先端融合研究環:地域創生のための建設学】のレポート採点をしています。学生さんに与えた課題は「わたしの流域」です。現在住んでいる流域、もしくは、ふるさとの流域を挙げて、その特徴を書いてもらい、治水もしくは水資源について意見を求める内容です。

この講義、建築の学生さんが主流で、次いで市民工学、機械、情報知能、農学、海事、理学など、いろいろな専門をもつ学生さんが受講していました。面白いと思うのは、学生さんが持っている専門的バックグラウンドによって、非常にバラエティに富んだ意見が出てきていることです。市民工の学生さんだけでは、このような意見分布にはならないと思います。

このようなレポートを見ていると、講義だけじゃ勿体ない!と思ってしまいます。みなさん、実はいろいろとよく考えているので、専門をこえる形で、何か具体的テーマを決めてサロン形式で議論する雰囲気などがあれば、もっと面白い展開が期待できるのかもしれませんね!

さて、この10月のテーマは【プランニング】にしたいと思います。

2009年9月30日

Environmental Conservation and Disaster Reduction

久しぶりのブログです。9月は、学会、加古川および揖保川の流域観測、原稿作成などと、ほんとうに飛ぶように時間が過ぎ去ってしまいました。

右の写真は9/11-13の揖保川観測のワンショットです。8月の大きな出水によって、それまで青々と生茂っていた河川植生が流失しました。河道地形も大きく変化し、ゴロゴロとした玉石の礫河原になっています。わたしたちが流域の水環境をモニタリングするために設置している水温計も、本川を中心に数多く流失してしまいました。

このように流域に出かけて観測調査を行うと、このたびのような洪水も、平時の穏やかな川の流れも、そして渇水のときも、まるごと河川環境・流域環境なのだと実感します。自然はそのような区別はしませんものね。

わたしたちが自らの住む【流域の環境】を考えるとき、生態系などの自然環境を議論するときに常に洪水災害のことを考え、逆に、水害のことを考えるときに生態環境に想いを馳せる。そういう風に環境と減災を一体的に考える思考が、これからの流域環境を保全/管理する上で大変重要になると感じています。

2009年9月4日

September, 2009


9月です! 少し暑さは和らいできたようですが、皆さんはどうお感じでしょうか?

8月はいろいろありました。最後の週末には研究グループで毎年恒例のゼミ旅行に出かけました。今年は一泊二日で【四国三郎】、吉野川流域です。 吉野川は流域面積3,750km2、幹川延長194kmの一級水系です。

一日目。岡山から瀬戸大橋をわたり香川から四国に入りました。空海の満濃池、重文の豊稔池堰堤を見てまわり、夕方には吉野川上流の大歩危・小歩危に到着です。二日目、大歩危でラフティング、かずら橋、小便小僧とまわり、徳島、淡路島、明石大橋を通って神戸に帰ってきました。たいへん盛りだくさんのゼミ旅行でした。

特に、吉野川でのラフティングが大変面白く、川の流れを実際に体感できたこともあって、とてもよかったです。ガイドさんと川のお話を少ししたのですが、ウェイクや死水域での流れの特性をよく把握されていて、せん断層のことをエディーラインと表現してました。職業上当然のことなのでしょうが、特徴ある流れや危険な場所は把握しているようで、感心しました。

当日は快晴で、吉野川の流れを十分に満喫できました。皆さんも機会があれば、一度ラフティングを楽しんでみてはいかがでしょうか? 楽しいだけではなく、安全がある程度確保された中で、自然の流れの力強さや怖さなども体感できると思います。

さて、この9月のテーマですが、【集中力】にしたいと思います。

2009年8月24日

Storm Disaster

台風9号が兵庫県に非常に大きな爪痕を残してから半月が経過しました。報道機関などの情報からも、被災地はまだ復旧に向けて混乱の中にあることがわかります。鋭意実施されている復旧復興が順調に進むことを願っています。

右の写真は被災後、少し時間をおいてから現地を回ったときの一枚です。佐用川、千種川の沿川、揖保川の上流区間を、出来る限り復旧の妨げにならないように気をつけながら、一日かけて河川災害の状況を見ていきました。多くの方が亡くなられた佐用川、橋が流失して人々が孤立した福知渓谷の周辺は特に、洪水の痕跡や河川の側岸浸食の様子からも豪雨水害の凄まじさが推し量られます。

同時期の台風8号による台湾の大災害、先月豪雨による山口県の土砂災害など、各地で豪雨被害が続いています。一つひとつから教訓を学び、いざというときに命が守れるように、私たちみんなで危険情報の発信や共有をおこなうことの大切さを、現場に立って再認識しました。

2009年8月6日

AIC

本日の夕刊に、赤池弘次先生が二日前にお亡くなりになられたとの記事が掲載されていていました。81歳とのことです。

AIC(Akaike's Information Criterion) - 赤池情報量基準。

統計モデルを扱った方なら誰しもがご存知のこの指標。AICはモデルの良さを評価するための、たいへん有名そして有用な指標です。モデルの単純さとデータへの適合度との間のトレードオフを、合理的に解決するための基準を与えてくれます。わたしも流域水温や流れのデータ解析をするときに非常に恩恵を受けています。

赤池先生のご冥福を心よりお祈りいたします。

2009年8月4日

Kakogawa River, August 2009

近畿地方でちょうど梅雨が明けた先週末、兵庫県ではかなり纏まった雨が降りました。

右の写真は加古川における出水状況です。土曜日の午後、ちょうど水位がピークを迎える時間帯のワンショットです。この時点ではすでに青空になっていることがわかると思います。流域上流に降った雨が、河川のネットワークを伝ってここまでたどり着くのに時間がかかるからです。

このブログでも紹介していますが、この場所はわたしたちが河川内の樹林帯と出水時の流れの関係を現地観測しているサイトです。このたびの出水では写真にみられるように、砂州上の樹林帯にかなり流れが入ってきていました。

今週末と来週、出水後の樹林帯や河道の状況を調査し、設置している流速計や水位計のデータを回収するために、加古川に出かける予定です。出水時における樹林帯まわりの流況が的確にデータに表れていることを期待しています。

2009年8月1日

August, 2009

今日から8月ですね! 晴れた日の入道雲を見ていると、梅雨の長雨ももうすぐおわりそうで、あつい夏を迎えそうです。

大学では講義と試験がおわって夏休みになります。わたしの研究グループでは4年生は大学院入試、大学院生は研究の本番を迎えますね! 

わたしも、やるべきことはたくさんありますが、目の前にあることから一つひとつ焦らずクリアしていきたいと考えます。この8月のテーマは【もう1つの夏】にしたいと思います。

2009年7月23日

Visualization Symposium 2009

三連休あとの火曜日と水曜日、東京の工学院大学でおこなわれた可視化情報シンポジウム2009に参加してきました。このたびは、【ウェーブレットと知的可視化の応用】というセッションで発表/司会/コーディネートをしました。

発表題目は、【流域の流水水温と気象・水文量の相関性に関する多重解像度解析】です。現在、継続してモニタリングしている揖保川の河川水温を解析したものです。ウェーブレット解析はデータ分析手法のひとつで、スペクトル解析や主成分分析などと同様なカテゴリー(Karhunen-Loeve expansion)に属します。

この学会のおおきな魅力のひとつは、【可視化】というキーワードを軸にしていろいろな分野の人びとが集まって議論が展開されることです。非常に学際的な雰囲気で、楽しめます。

このたびは20周年のイベントがあって、NHKのプロフェッショナルでご存知の脳科学者、茂木健一郎さんが特別講演をされていました。

皆さんもご経験があると思いますが、見えないものを可視化して一つの図や写真、あるいは映像にまとめると、ハッと気付かされることがあります。わたしのテーマである流域環境の研究課題も、その成果を一枚の図面でシンプルに纏められるように、鋭意努力したいと考えます。

2009年7月16日

River Basin Observation in July 2009

先週の土曜日と日曜日、水温モニタリングを行っている揖保川流域に出かけてきました。この研究課題を担当する中山君、前羽君と一緒です。

このたびの観測では、流量は普段と比べて多く、さすがに梅雨の時期であることを感じました。写真は、揖保川下流近くの頭首工(とうしゅこう)の一部です。頭首工は農業で使う水を川などから引き入れるための施設の総称です。雨のあとということもあって、この頭首工も水を満々と貯めていました。

揖保川には、農業をはじめとして人が利用するために取水する、頭首工や井堰のような施設が大小150以上もあるとのことです。川がしゃべれるのであれば、「おーい、みんな。ちょっと取りすぎとちゃいますか?」といわれそうですね。

これからの季節、青々とした水田を潤すために揖保川からも多くの水がひかれます。毎日おいしく食べているお米の生産が、目に見える形で始まる季節でもあります。川にある堰をみて毎日食べているご飯を思い浮かべることなど、なかなかに難しいことでしょう。このような身近な日々の営みと自然への負荷の関係を、ぱっと見てとれる便利な装置があればよいのにな、と思います。

2009年7月7日

Professor Hirofumi UZAWA

昨秋、たいへん有難いことに、日本を代表する経済学者、宇沢弘文先生にお会いする機会がありました。土木学会関西支部のFCC(フォーラム・シビル・コスモス)という活動の一環です。

宇沢先生には、非常にお忙しいなかお時間をいただき、【社会的共通資本と土木】と題したFCCのフォーラムで特別講演を頂いております。

宇沢先生の提唱されておられる【社会的共通資本 Social Common Capital】、ご存知の方も多いと思います。みなさん、きっと共感する部分が大きいのではないでしょうか。

フォーラムの内容はこちらからご覧いただけます。ご興味のある方は是非どうぞ!

2009年7月1日

July, 2009

今日から文月(ふみづき)、7月ですね! カレンダーでは今日から後半戦。早いものです。

この文月の由来は諸説ある中で、七夕に詩歌を献じたり、書物を夜風に曝す風習があるからというのが定説だそうです。

七夕に詩歌。そういえば家の子供も今日、短冊を作っていました。わたしも子供の頃、父親に取ってきてもらった笹竹に、夢を書いた短冊をぶら下げたことを思い出しました。いわゆる田舎の子供で、田んぼへ向って満々とながれる水路に笹舟を流して競争させたり、夜にホタルを取りに友達と水辺に出かけたのも、この時期だったと思います。

そんなことを思い出しながら、この7月のテーマは【あせらず楽しむ】にしたいと思います。

2009年6月21日

Summer Solstice

今日は夏至でした。心なしか、ここにきて気温がグンと上がった感じです。

今日、参画していた土木学会都賀川水難事故調査団のまとめの報告書原稿を仕上げました。もう少し、校正などに時間がかかるとは思いますが、来月中には何らかの形で公開するように段取りしたいと考えています。

日本ではいま、梅雨の真っ只中ですね。

これからはどんどん暑くなって水辺が恋しい季節になります。急なお天気の変化には十分に気をつけて、自然のなかで水に親しみたいものです。

2009年6月14日

Nunobiki Dam

昨日の午後、市民工学科のfreshpersons 24人と一緒に、JR新神戸駅の北にある布引水源地の水道施設を訪れました。市民工学概論という講義の一コマです。

写真は、布引五本松堰堤(通称、布引ダム)のワンショットです。この布引ダムを含め、一連の水道施設が国の重要文化財の指定を受けているとのことです。

このたびは大学の講義の一環ということで、特別に堰堤の上に入れてもらえました。中央にある取水塔の脇にプレートがありました。1900年1月という日付とともに、建設に関わった3人のお名前が刻まれています。 ダムの水や下流の布引の滝の水はとても透明で、良質の水道水源であることが実感できます。現在、神戸の水道水源として、その約2%を供給しているとのことです。

この日は天気もよく、都会近くの自然を楽しむカップルや日帰りハイカーもたくさんいました。 近くにお住まいのみなさんも、天気の良い休日に、友人やご家族と一緒に布引に遊びに行かれては如何でしょうか? 100年の時をへて自然と調和する布引ダム。その姿をとおして、人々の暮らしを支えるために水道水源を確保した、先人の努力と知恵に触れることができると思います。

2009年6月12日

Kakogawa River, June 2009

6月8日に加古川の河川植生調査に出かけました。前回の観測と同じく、道奥教授、神田教授とわたしたちの研究グループの共同研究です。わたしたちのグループからは、盛岡君がこの研究課題に参画しています。

この日は梅雨入りの一日前で、たいへんよい天気となりました。今回は、砂州上の植生群落を詳細に調査することと、いろいろな場所で河床材料を採取することに主眼がおかれました。

この写真は砂州中央にたって、カメラを180度ほど振って撮影した合成写真です。とても河川の中とは思われません。水面と砂州の高低差は場所によると2mほどあり、完全に陸地化しているように感じられました。

このような陸地化は、ひとつには、人びとが安全・安心に暮らせるように長い時間をかけて流域や河川を整備し、流出特性がおおきく変化した帰結とも考えられます。河道がこのように陸地化すると、大きな洪水のときに危険度が増すことになります。この共同研究で、河川植生のより良い管理手法が見いだせるように努力していきたいと思います。

2009年6月2日

June, 2009

6月になりました! もうすぐ梅雨入り、じめじめとした季節の到来ですね。

春学期の火曜日、この時期わたしは講義・実験が3コマ入ります。朝一番に大学院博士前期1年生の【沿岸の環境と防災】、午後に学部3年生の【実験および安全指導】です。

朝一番の【沿岸の環境と防災】では、「授業」ではなく大学院らしい「講義」をするように心がけています。受講している学生さんが、沿岸域や流域圏の環境問題に興味をもって、積極的に勉強を進めていけるようになることを期待しています。

午後の【実験および安全指導】では、交換密度流の可視化実験を担当しています。上の写真は実験のワンショットです。高密度の水塊が進んでいく様子は大変美しく、可視化の大切さが実感されます。学生さんたちには、流れの美しさに加えて、流れの力学理論の美しさを少しでも実感してもらえれば、この学生実験は成功だと思います。

この6月のテーマは、【コツコツ実行】です。

2009年5月31日

Toga River Symposium

昨日の午後、神戸市灘区の区民ホールにて、土木学会主催の都賀川水難事故に関する市民対象シンポジウムが開かれました。昨年7月28日におきた水難事故に関する学会調査団の報告です。私もこの調査団の一員として調査活動に参加しました。

このシンポジウムは、市民のみなさんに調査内容をできる限りわかりやすくご報告し、さらに、同じような水難事故が二度とおこらないように、わたしたちみんなの意識をたかめて再発防止を図ることが意図されています。

シンポジウムは、事故要因の分析、参加・体験型のデモンストレーション、親水利用への提言の3部構成でした。200名もの市民のみなさんに、調査・分析結果や提言をお聞きいただき、さらに、都賀川模型や啓発CD-ROMなどを使って実際にデモや体験をして頂きました。

これから日本列島は梅雨が始まります。近畿地方では、昨年は5月28日ごろに、平年は6月6日ごろに梅雨入りのようです。 大雨になれば川は予想以上に一気に水かさが増えます。そうなる前に川を離れて、このたびのような水難事故が二度と起こらないように、社会全体で命を守っていきたいと考えます。

2009年5月18日

River Basin Observation in May 2009

先週の土曜日、揖保川流域にでかけました。河川水温の観測研究を担当する中山君、前羽君と一緒です。

今回の観測では当初、設定している観測点をすべてまわる予定でした。しかし、天候が思わしくないことから予定を変更し、昨年企画した源流水温観測点を新設しました。写真は、新たに設定した源流観測点のひとつです。

観測に最適なポイントを、急勾配の沢を登って探します。試行錯誤しながら、設定までにかなり時間をかけましたので、最後はたいへん疲れました。

それでも、こうして流域にでかけると、机上では考えられない色々な情報が得られます。今回は源流付近の流れや環境をずいぶんと見て歩きました。時間をかけて観測にでかける意義は、このような直接の一次情報が得られることにあると考えます。

今後、今回の源流水温を含めて、流域の水温挙動を解析するのが楽しみです。次回は7月に観測にでかける予定です。

2009年5月13日

The Lake Biwa Canal

ゴールデンウィークの後半、京都東山に家族で出かけました。琵琶湖疎水、南禅寺、哲学の道、銀閣寺、円山公園、八坂神社、清水寺などです。

写真は、蹴上のインクラインを登りきったところにある琵琶湖疎水のワンショットです。このたびはインクラインを登るのではなく、南禅寺の水路閣から疎水を上流へ歩きました。田辺朔郎博士の像がおとなりの公園にあります。

おおよそ一世紀前、京都は明治維新や東京遷都に伴って人がいなくなり、産業も衰退したようです。その京都のまちに活力を取り戻すべく、琵琶湖疎水は計画されたとのことです。灌漑、上水道、水運、発電など地域を総合的に活性化させる社会的共通資本の整備です。

琵琶湖疎水はいま、京都の人とまちに完全に調和しているように感じます。わたしたちの創る社会基盤はすべからく、このように100年の時を経てもなお、人びとの日々の生活に資するものでなければならないと感じました。

2009年5月1日

May, 2009

今日から5月です。風薫る、新緑の清々しい季節のはじまりです!

世間では、危険レベルがフェーズ5にあがったSwine Fluが話題になっていますね。このSwine Fluもそうですが、現在の世界経済の危機的状況、そしてIPCCなどで報告される地球規模の気象変動からも、世界が非常にコンパクトになっていることがわかります。

物理的には飛行機や船舶などの交通ネットワークによって、情報通信では世界中に張りめぐらされたインターネットWWWなどによって、まさしく世界が同期して動いているようです。

Think Global, Act Local、この言い古されたフレーズがほんとうに大切になります。便利であるとか、安いとか、そういった利便性や経済的な価値基準ではなく、わたしたちの子供をふくめ、将来世代が暮らす環境を持続的に守ること、そのことを基準にする。そして、それを基に一人ひとりが身近な日々の暮らしや社会生活を営む。

それをどう具体化したらよいのか? 私は浅学ながら自身の職業的専門性をよりどころに、【流域環境】という視点からその鍵を探していきたいと考えています。

この5月のテーマは、【リズムと実行】です。

2009年4月30日

Kakogawa River, April 2009

本日の午後、加古川の河口から23.6km上流にある砂州に河川調査にでかけました。昨年度からスタートした加古川の河道内植生に関する研究会の活動です。加古川は、兵庫県丹波市の粟鹿山を流源にして瀬戸内海の播磨灘に流れこむ、流域面積1,730km2の一級河川です。

今日は調査といっても、砂州の草刈りが主でした。この梅雨の洪水時に、植生まわりの流速をはかるための準備です。あわせて、砂州上の植生の状態も踏査してきました。 前回の秋の調査と比べて、思ったよりも変化がなかったように思います。

この写真は砂州中央から右岸側に向かってシャッターをきったものです。河川の右岸は、流れと同じ方向をむいて立ったときに、その右手にあたります。ここは河川の中なのか?と見間違えるくらい、竹林や大きな樹木、草本がたくさん繁茂しています。

非常に大きな洪水がおこると、こういった植生群落も流れを妨げ、水位を上げる流水抵抗になります。普段みられる河川生態系と、洪水時の人びとの安全・安心、これらはともに非常に大切な守るべきものです。この両者のよりよい共生のあり方を、この研究会では真摯に考えます。 わたしも【流域環境】の視点を念頭において、河川植生と洪水流のあいだの経年動態をしっかりと評価していきたく思います。

2009年4月23日

The Two Earth Days

昨日、4月22日は地球の日(the Earth Day)でした。

実はこの地球の日、二つあります。ひとつは春分の日で、もう一つは昨日の4月22日です。前者は、1969年に国連UNESCOの環境関連の会議で、ジョン・マッコーネルによって提唱されたものだそうです。一方後者は、同じく1969年アメリカの上院議員ゲイロード・ネルソンの呼びかけで、翌年の4月22日に環境に関する集まりが開かれたことに始まったそうです。

国連地球の日では、1954年に日本から国連に贈られた【日本の平和の鐘】が鳴らされます。贈られた当時、日本はいまだ国連に加盟してなく、戦後の国際社会への復帰、その道なかばのときです。日本の平和の鐘、みなさんご存じだったでしょうか?

地球の日、わたしは特に意識することなく一日を過ごしました。おくればせながら、地球のグローバルな環境と、私のテーマである【流域環境】に関連して、普段自分が思っていることをこの機会に一度纏めておきたいと思ってます。重要なことがらについて特別な日を設定し、その意味を考える時間を作ることは、とても効果的なことだと思います。

2009年4月22日

Lab Welcome Party

桜の時期がおわってグッと暖かくなり、大学でも春学期が本格的にスタートしました。

おとといの夜、お隣の道奥康治教授の研究グループとわたしたちの研究グループと合同で、歓迎会を開きました。研究グループに新しく参入してきた学生諸氏の歓迎です。

歓迎会でお話しすると、みなさんとても元気で闊達です。わたしとしては研究活動が全般的に、非常に活性化しそうな予感がしています。とても楽しみです!

わたしたちの研究グループのメインテーマは【流域環境】です。グループのみなさんといろいろと密度の濃いディスカッションを展開して、鋭意研究を進展させたいと思います。

2009年4月12日

Mowing and Cleaning with Symbiosys

きのうの朝、わたしたち家族のすむ合同宿舎では月に一回の清掃活動がありました。忙しい時期は家内や子供に任せるのですが、きのうは反対にみんな忙しく、私が清掃にでました。約30~40分程度、宿舎の方々と一緒に、周りの草や落ち葉などをとっていきます。春先ですので、この時期はそれほど草は繁茂していません。

草を刈りながら、ふと隣を見ると、咲き誇る桜の木のそばで側溝が土で埋まっていました。側溝から土を取り除こうとしたのですが、実は、そこには桜の木の根がびっしりと伸びてきていました。そして、その上には濡れた落ち葉が積み重なり、落ち葉の間にはミミズやダンゴムシ、芋虫など、子供たちが喜びそうないろいろな生き物が生息していました。

その作業の途中、ここも小さいながら一つの生態系を形つくっていることに気がつきました。そして、ずいぶんと長い間、わたしたちの生活に支障をもたらさず、また、周りの状況から大雨の時もそれほど大変なことにはならないと思われるので、ここは土に埋まったままのほうが良いと思いなおし、側溝から土を取りのぞくことを止めました。

生態系や自然環境と人間社会との共生ということをよく耳にします。こう言うと何か遠く感じるのですが、その自然共生は案外、普段何気なく日常的、習慣的に行っている身近なことの中に、実は存在することを実感しました。

2009年4月10日

Spring Semester Started

大学では今週から春学期のはじまりです。7日の入学式では、わたしたちの専攻や学科にも大勢のニューフェイスが入学してきました。みんな晴れやかな、いい顔ですね。講義などで会うのが楽しみです。

この時期、スタートアップのためのいろいろなガイダンスが設定されます。たしか、私が学生だった頃には、このように多くのガイダンスはなかったように記憶しています。いつから講義がはじまるのかもよく分からず、迷いながら講義の部屋を探し、知っている顔が集まっているのを見てホッとしたようなことを思い出します。

知らないことに対して、自ら求めて行動することの大切さを自覚した瞬間でした。

大学には、本当にいろいろな、無限の可能性が内在されていると思っています。いろいろな知識を能動的に吸収して,また、積極的にまわりの友人や教員と議論して、大学での日々の生活をぜひとも楽しんでほしいと願っています。

2009年4月5日

Danube, Mitteleuropa and Balkan

加藤雅彦:ドナウ河紀行 -東欧・中欧の歴史と文化,岩波新書、220p.、1991、を読みました。

ドナウ川は、ドイツのシュヴァルツヴァルトを流源として、中欧・東欧諸国を経て、ルーマニアとウクライナに広がるドナウデルタにて黒海に注ぎます。その長さは2,860km、流域面積は817,000 km2、平均流量は6,500m3/sです。

この本では、ドナウを源流から河口まで川にそって下りながら、沿川のドイツから旧ソ連までの8カ国(執筆当時)の歴史と文化をひもときます。ハプスブルク・冷戦・古代ローマ帝国などの歴史模様、ゲルマン・スラブ・ラテンなどの民族ルーツ、カトリック・プロテスタント・回教・正教などの多様な宗教。大河ドナウを軸に展開されるこれら歴史と文化を、「ドナウ世界」という観点から非常にやさしく論述してくれます。たいへん面白い内容でした。

わたしたちの研究グループは、現在【流域】を軸にして、将来にわたって持続発展可能な流域環境のあり方を検討しています。世界のさまざまな河川流域をみると、ほんとうにいろいろな観点からの研究展開が大切なことがわかります。

2009年4月4日

科研費

昨日、正確には4/1のようですが、文部科学省の科学研究費補助金の今年度内示がでました。今回は2件申請していたのですが、ひじょうに残念ながら採択には至りませんでした。かなり時間をかけて研究計画を立てたのですが、認められず、まことに残念です。次回の申請、しっかりと研究計画を考え直し、採択に至るようなベストのプロポーザルを作成したいと考えています。

現在わたしのおかれた立場では、教育研究費として定常的に使える大学からの予算は、10年前の1/10ぐらいになっています。その分、科研費のような、競争的資金といわれる外部資金の獲得が必要になります。科学研究費関連の予算は年々伸びていっているようですから、極端に資金を得ている人と、まったくもらえない人に二極化していっていると考えられます。国の将来基盤をつくっていく、大学のような高等研究・教育分野においても、他の分野と同様に、格差社会に遷移していっているようです。

ユークリッドは学問に王道なしと言いましたが、まさしく、研究や教育には時間をかけなければ到達できない部分が大きいように思います。地道に教育・研究をおこない、研究論文を世界へ向けて公表し、そして成果を蓄積する。わたしたちも、そのような日々の営為をしっかりと、リズムをもって行っていきたいと考えています。

2009年4月1日

April, 2009

今日から4月です。出会いと別れの季節ですね。

昨夜は、同じ宿舎で非常に仲よくしていただいたご家族が愛媛に移られるので、夕食をともにしました。お好み焼きパーティです。旦那さんは大学教授としてご栄転です。数学の本流に戻られるとのことで、まことにおめでとうございます。また、3人のお子さんには、うちの子供といろいろと仲良くしてもらって、本当にありがとうございました。

今日は、わたしたちの研究グループに3人のnew facesが来ました。現メンバーとともに、今年度もいろいろと活発に活動できそうな予感です。お互いに研究を楽しみながらBestを尽くしましょう!

この4月のテーマは、【基礎とリズム】です。

2009年3月29日

River Basin Observation in March 2009

いつの間にか3月もおわりに近づいてます。定例の流域観測に、揖保川まで出かけました。この度もなにごともなく、流域全域の流水水温や電気伝導度などの水質項目と、河川水文量を観測しました。

右上の写真は下流の河原の風景、一方、右下は最上流、支川引原川の雪景色です。この一日違いの2ショットは、同じ流域に含まれるふたつの地点のものです。この間の河川長は約70km、高低差は約650mです。

この情景のコントラスト! なんともいえず、冬から春への季節の移りかわりを感じさせます。 下流では、菜の花の香りが河川敷に漂い、さらに、山際には桜花も見られました。一方、上流では雪が舞い、凍てつく寒水です。

このたびは流量も多かったように感じます。暖かくなるこれからの季節、上流の雪解け水が流域に春の息吹を運んでくるように思います。 躍動的な春の季節がはじまりますね! 普段はそれほど意識しませんが、自然の水文(すいもん)循環も季節とともにリズムをもって変化し、わたしたちの日々の生活環境と密接に結びついているようです。

2009年3月25日

Farewells

今週前半は,Farewell Partyが続きます。月曜日は研究グループの修了・卒業をお祝いして、一方、昨日の火曜日は、わたしの所属する市民工学専攻で、お二人の技術職員のご退職にあたってのパーティーです。

技術職員のおふたりは、ともに35年という長きにわたっての奉職です。わたしも、学生のときのコンクリート実験にはじまり、水理実験、現地観測の車の手配、オープンキャンパス、それに、ちょっとした技術的なノウハウの数々、ほんとうにいろいろと教えていただきました。

長い間、本当にありがとうございました! 一度ご退職されて再雇用ということで、このあともしばらく大学の教育・研究にご協力いただけます。どうぞよろしくお願いいたします。

2009年3月22日

World Day for Water

今日は国連水の日です。1992年12月の国連総会本会議にて、毎年3月22日を国連水の日とすることが決議されたとのことです。また、このことは1992年の地球サミット採択文書Agenda21の第18章でも言及されているようです。

地球上を循環する水は、ほんとうに人間や地球上の生命に対して本質的なものだとおもいます。水は、水資源というように人間にとって欠かせない資源であり、また、循環の過程でいろいろなものを運びます。雨が多ければ洪水とよばれ、少なければ渇水となります。さらに、地球上のいろいろな生態系に対しても水は本質的な役割を担います。

神戸では、今日はあいにく一日雨模様です。雨が降りしきる空をみながら、今日は一日、このようにいろいろと重要な役割をあわせもつ【水】と、わたしたち人間の過去・現在・将来について、じっくり・ゆっくりと想いを馳せたいと思います。

2009年3月21日

Vernal Equinox

昨日は春分の日でした。日本では春のお彼岸ですね。花冷えはありますが、今日からは北半球のほうに太陽がよってきてぐんぐんと暖かくなっていきそうです。

地球をみわたすと、北極では今日からまったく太陽が沈みません。はんたいに、南極では太陽が昇らない期間が秋分まで続きます。ですので、そのどちらかにいると、わたしたちはその境を明確に認識できます。

しかし、日本にいて現代を生きるわたしたちにとっては、その境はなかなか微妙なもので、日頃の生活からは鋭敏には実感できません。わたしなどは、【春分】とカレンダーにしめされていることから、やっと認識している始末です。

むかしは、このような二十四節気も、わたしたちの日ごろの何気ない生活に密接に関連していたのだと思います。このような季節感と実生活のつながりを紡ぎなおすことが、自然と調和した、持続可能な将来社会をつくっていくように思います。

2009年3月19日

Campus Clean Day and Social Capital

昨日の午後、わたしの所属する工学研究科では清掃活動がありました。標題にあるとおり、キャンパスクリーンディという名前がついています。年に数回、午後の一時間、教職員・研究室所属の学生さんで、じぶんたちの普段生活する学舎・研究棟のまわりを美しくするといった活動です。

このまえもそうでしたが、秋からこちらの季節は落ち葉が非常に多いです。その落ち葉ひろいや溝掃除、ゴミ拾いといった非常に単純な作業なのです。

しかし、そのわずかの作業時間で、ふだんあまりしゃべらない他の研究グループの学生さんや教職員さんとちょっと話ができたりして、コミュニケーションがとれます。何でもない活動なのですが、それでも連帯感が紡ぎ直されたように感じます。

最近、ソーシャル・キャピタル、という言葉をよく耳にします。ひとと人の自発的な協調行動を介して、社会の信頼関係や規範、ネットワークをより良いかたちにし、豊かな地域社会や組織に導いていこう、というような概念のようです。あまり難しいことはよく理解できませんが、このキャンパスクリーンディといったような、ほんとうに身近な活動の中にこそ、ソーシャル・キャピタルを醸成する素地があるように思います。

来秋は、ぜひ落ち葉でおいしい焼き芋+ビールでもしたいものですね!

2009年3月7日

Conference on Hydraulic Engineering, 2009

3月4~6日、東京の芝浦工業大学豊洲キャンパスにて開催された土木学会水工学委員会主催の第53回水工学講演会に参加してきました。わたしの研究グループからは、以下の2件の論文を講演しました。

  1. 宮本仁志,橋本翼,道奥康治:河道位数を用いた土地利用と人口の流域分布モデルと流域間比較, 水工学論文集, 第53巻, pp.1105-1110, 2009.
  2. 宮本仁志,菅原康之,道奥康治:上・中・下流域における河川水温の形成要因に関する解析的検討, 水工学論文集, 第53巻, pp.1153-1158, 2009.

発表を担当してくれた菅原君と橋本君、ともに立派に発表していたと思います。もちろん、説明やディスカッションで、もう一歩至らないところも多々ありました。しかしトータルで見ると、セッションに参加していたの多くの人たちに,わたしたちの論文成果や研究の意図がうまく伝わったのではないかと感じています。

ひとつ目の論文では、3つほどキーポイントがありました。その最初のものは、流域各部での仔細にこだわることなく流域を一貫して大観的に解析するために、水系ネットワーク特性を表現する河道位数をベースに解析モデルを構築したことです。これにより、日本の109の一級水系においてさまざまに展開される土地利用や人口など社会環境状態が系統だてて表現され、統計解析ができることを示しました。さらに、その結果をもとにして、現在の社会環境状態をベースに109の流域を合理的に類型化しています。ご興味のある方は、ぜひ上記の論文をご参照ください。

ふたつ目の論文は、同じ流域一貫の環境課題に関する研究ですが、こちらは、わたしたちが河川水温をモニタリングする揖保川水系の観測結果をベースにした成果です。特に、この論文では、土地利用形態がことなる水系ネットワーク上の上・中・下流部を対象にして、流水水温の形成機構のちがいを熱保存式をもちいて検討しています。こちらも、ご興味ある方はぜひ論文をご参照いただければ大変ありがたく思います。

このたびも、ディスカッションやほかの講演プログラムを通して、わたしたちの今後の検討課題や考えるべきポイントを、いろいろと頭の中で整理することができました。特に、竹村公太郎リバーフロント整備センター理事長が特別講演された「川から見た江戸から東京へ」は面白く、いろいろと考えさせられました。今後の研究展開がとても楽しみになってきてます!

2009年3月3日

KushiKatsu and Beer


昨日の夜、修士論文、卒業研究、そして学会学術講演会の原稿投稿が終わって一区切りついたので、研究グループの学生さんたちと一緒に打ち上げをしました。旨いビールと串カツでした!

研究グループのみんなが頑張ってくれているおかげで、今年度はかなり流域研究が進展した気がします.きっちりと論文にまとめていきたいと思ってます。また、研究課題全体としては、目標とするところまでにはまだまだ道のりが長いので、焦らずコツコツじっくりと、一つひとつの課題を進めていきたいと思ってます。

ワイワイガヤガヤと楽しい時間をすごして、十分に充電できた気分です。また明日から頑張ろうと思います。

2009年3月1日

March, 2009

2月はいろいろとあって,やはり,逃げるように過ぎ去ってしまいました. わたしの研究Gの学生さん3名は,なんとかりっぱに修士論文・卒業研究を書きあげました.また,学会発表の原稿も今日までにほとんど仕上がりましたので,秋から本格化した一連の研究活動もやはり一区切りといえるのでしょう.明日は,修論・卒研・関支の研究G打ち上げが予定されてます.旨いビールと串カツ,是非みんなと楽しみたいと思います!

さて,3月のテーマです.私としてはいろいろとあるのですが,【まとめと計画】にしたいとおもいます.

2009年2月21日

Presentation Practice for University Graduation Thesis

昨日の午前中、研究グループの学部4年生を対象に、卒業研究の発表練習を行いました。予定の時間をはるかにこえて、2人で3時間程度の練習でした。ふたりとも研究の内容は、努力の甲斐あって4年生に期待されるレベルに到達していたと感じています。

一般に私たちのまわりでは、卒業研究は学会講演会の口頭発表レベル、修士論文は査読付論文1本、博士論文は査読付論文3本のレベル、といわれています。そういう意味で、卒業研究は、卒業のための必修単位であるのですが、同時に、(学士の)学位請求論文でもあると思います。

初めてですので、ふたりともプレゼンテーションのテクニック、卒業論文における論理的な文章構成や考察力などは、修士の学生さんに比べるとまだまだです。しかし、これらの点は今後、大学院の勉学においてコツコツと毎日努力を続ければ、自ずと実力がついてきます。一朝一夕ではなく、時間をかけることによって、いつの間にか思いもかけず付いてくる類の能力だと思います。時間をかけるためには、自身の研究課題や学生生活を自ら楽しむことがとても大切になってきますね。

月曜日は卒業試験の本番です。修士論文審査会のときもそうでしたが、ふたりのこれまでの努力に敬意を表し、立派に成果発表することを期待しつつ、わたしも精魂こめて全力で試験を行いたいと思います。

2009年2月16日

Master Thesis Presentation

今日は一日、神戸大学大学院工学研究科市民工学専攻の修士論文の公聴会でした。私の関係する修士論文はふたつあります。揖保川流域の河川水温の研究課題と、加古川河道内樹林の研究課題です。それぞれの研究課題を担当する学生さん、ふたりとも立派に発表していたと感じました。

流域河川水温の発表では、将来の河川水温に対する気象変動への影響評価のところに質問が集中しました。割合うまく答えられていたのではないかと思います。渇水や洪水などの極値に対する検討や風の影響についての質問は、研究全般のフレームワークの理解がもう少し高ければ、うまく受け答えできたのではないでしょうか。

河道内樹林の発表では、樹木倒伏の確率評価のところに興味が惹かれました。ただ、いろいろとあって、今年度は予定していた河川流速の現地観測ができませんでした。その点、担当した学生さんも残念だったのではないでしょうか。私も、彼の研究に対応して、自身に与えられた課題を進めていきたいと思っています。

一日あけて水曜日は審査会です。時間は限られますが、どんな議論ができるか非常に楽しみです。ふたりの努力に敬意を払うべく、精魂こめて全力で審査したいと考えます。

2009年2月12日

Forest, River and Basin


今週の月曜日、流域の河川水温を継続してモニターしている揖保川に出かけてきました。今回は定例の水温観測ではありません。昨年、ある学会でお世話になった兵庫県森林林業技術センターの研究者、山瀬さんにお会いするためです。揖保川の森林域をいろいろとご案内いただきました。いつもと違った角度から流域がみれて、とても勉強になったと感じます。また、わたしたちの流域河川水温の研究課題についても、センターの研究者の方々を交えてお話ができ、たいへん有意義な情報交換の場になりました。山瀬さん、どうもありがとうございました。

この写真は、ご案内いただいた森林のワンショットです。この部分は間伐のタイミングを逸してしまった状態とのことです。いろいろと観点があるようです。揖保川流域は83%が森林ですので、その状態の良しあしが河川環境におおきく影響することが容易に想像されます。今まではそれほど意識していなかったのですが、これからの観測ではサイトのまわりを囲みこむ森林を意識しながら、流域を観測していきたいと思います。

2009年2月3日

Kakogawa River


今日昼下がりの小雨のふる中、加古川河口から約23km上流の河道に行ってまいりました。今年度からスタートした加古川の河道内植生に関する研究会です。この研究会では、河道内で繁茂する樹林など植生群落と、河川流れ、特に出水時の洪水乱流との関連を学術的に検討します。植生の成長過程を含めた河川の生態環境と、わたしたちの日々の暮らしを守る治水機能の共生の道筋をみいだすことが目標です。神戸大学でお隣の研究室の道奥康治教授と明石工業高等専門学校の神田佳一教授との共同研究です。今年の梅雨前から流れの流速をADCPという機器で計測する予定です。

2009年1月31日

February, 2009

今日で一月が終わり,明日からは二月ですね.毎年この時期,特に三月末まではいろいろと忙しく,アッというまに過ぎていきますね.大学の私の研究グループでも,学生さんはこれまでの成果をまとめるために,修士論文,卒業研究,もしくはそれぞれの課題にラストスパートをかけているところです.それぞれに山があり大変ですが,研究グループからよい成果を情報発信できることを期待しています.

私もこの二月は,いろいろと滞っている原稿を一つひとつ仕上げつ月間にしたいと思います.あれも,これもと思いつつ,一つひとつ.

2009年1月24日

Renew Web Sites of Our Lab and Mine

今月、わたしの研究グループと私自身のウェブサイトをリニューアルしました!

研究グループのウェブサイト: MIYAMOTO Lab Official Web Site
私のウェブサイト:Hitoshi MIYAMOTO Official Web Site

私自身のウェブサイトでは、このブログも活用して、研究の話題を中心に主に英語で運営していきたいと思います。ただしブログは日本語です。一方、研究室のウェブサイトは、研究グループの学生とわたしの日頃の活動や研究の成果などを、主に日本語で綴っていきたいと思ってます.とにかく、いろいろと情報発信ができるように、継続してメインテナンスをおこなっていきたく考えてます。

ご興味があるようでしたら、またお暇であれば、それとも必要であれば、とにかくどんな理由でも、上をワンクリックしてのぞいてみてください!