日本列島の降水を日本海と太平洋にわける中央分水界。その本州で最も低い部分が兵庫県丹波市氷上町石生(ひかみちょういそう)にあります。
この部分の中央分水界は氷上盆地をとおっていて、「谷中分水界(こくちゅうぶんすいかい)」と呼ばれます。日本山岳会の中央分水嶺踏査によれば、最も低い部分で標高約95mだそうです。
右の写真は、石生の「水別れ公園(みわかれこうえん)」にある分水界上の水路です。大変面白いことに、この写真の左矢印の方にいく水は由良川を流れて日本海へ、右矢印の方にいく水は加古川を流れて瀬戸内海へ流れでます。
分水界とは水がわかれる【最も高い部分を連ねた境界】のはずなのですが、それが標高100m程度と大変低いところが非常に興味深いですね。
この石生をとおして瀬戸内と日本海をむすぶルートは「氷上回廊(ひかみかいろう)」と呼ばれます。近代土木技術が発展する明治以前は、峠越えの苦労がないこの回廊を介して動植物や私たちの先祖が南北に行き交い、自然や社会が時間をかけて交絡していったようです。