2009年3月7日

Conference on Hydraulic Engineering, 2009

3月4~6日、東京の芝浦工業大学豊洲キャンパスにて開催された土木学会水工学委員会主催の第53回水工学講演会に参加してきました。わたしの研究グループからは、以下の2件の論文を講演しました。

  1. 宮本仁志,橋本翼,道奥康治:河道位数を用いた土地利用と人口の流域分布モデルと流域間比較, 水工学論文集, 第53巻, pp.1105-1110, 2009.
  2. 宮本仁志,菅原康之,道奥康治:上・中・下流域における河川水温の形成要因に関する解析的検討, 水工学論文集, 第53巻, pp.1153-1158, 2009.

発表を担当してくれた菅原君と橋本君、ともに立派に発表していたと思います。もちろん、説明やディスカッションで、もう一歩至らないところも多々ありました。しかしトータルで見ると、セッションに参加していたの多くの人たちに,わたしたちの論文成果や研究の意図がうまく伝わったのではないかと感じています。

ひとつ目の論文では、3つほどキーポイントがありました。その最初のものは、流域各部での仔細にこだわることなく流域を一貫して大観的に解析するために、水系ネットワーク特性を表現する河道位数をベースに解析モデルを構築したことです。これにより、日本の109の一級水系においてさまざまに展開される土地利用や人口など社会環境状態が系統だてて表現され、統計解析ができることを示しました。さらに、その結果をもとにして、現在の社会環境状態をベースに109の流域を合理的に類型化しています。ご興味のある方は、ぜひ上記の論文をご参照ください。

ふたつ目の論文は、同じ流域一貫の環境課題に関する研究ですが、こちらは、わたしたちが河川水温をモニタリングする揖保川水系の観測結果をベースにした成果です。特に、この論文では、土地利用形態がことなる水系ネットワーク上の上・中・下流部を対象にして、流水水温の形成機構のちがいを熱保存式をもちいて検討しています。こちらも、ご興味ある方はぜひ論文をご参照いただければ大変ありがたく思います。

このたびも、ディスカッションやほかの講演プログラムを通して、わたしたちの今後の検討課題や考えるべきポイントを、いろいろと頭の中で整理することができました。特に、竹村公太郎リバーフロント整備センター理事長が特別講演された「川から見た江戸から東京へ」は面白く、いろいろと考えさせられました。今後の研究展開がとても楽しみになってきてます!