2016年5月26日

Research Meeting in Kagawa

先週の木曜から土曜にかけて,香川で開催された土木学会水工学委員会環境水理部会の研究集会と地球温暖化適応ワーキングに参加してきました.香川大学の石塚正秀先生にたいへんお世話になりました.わたくしが部会長を担当するこの2年間で初めての研究集会です.

研究集会は84名の参加者で大盛況でした! 若手の研究者・技術者の皆さんにもいろいろと声かけさせていただいたこともあって,多くの若手に参加いただいきました.また,芝浦の宮本研の学生諸君も参加して勉強しました.

環境水理学の守備範囲は非常に広範なため,研究集会では,湖沼・内湾の現地観測から数値シミュレーション,地球温暖化への適応策関連の課題,環境計測の新方法など,30あまりの話題提供がありました.また,土曜日の適応ワーキングでも4件の情報提供があり,非常に濃い内容の議論ができました.大変面白かったです!

ご存知のように香川は年間の降水量が少なく,古くから水不足に悩む地域です.金曜午後にあった見学会では,その渇水対策の現代versionである香川用水記念館と古代versionである満濃池を訪れました.写真は満濃池で撮った集合写真で,名古屋大学の田代先生に頂いたものです.(参加の皆さんには後日送られると思います.)



この研究集会は今回で19回です.環境水理の研究課題は現地観測によるところが大きく,学会講演会の発表ではなかなか聞けない観測のノウハウや苦労話などが情報交換できるこの研究集会の役割は大きいと考えます.来年は記念の20回目になります.今年以上に良い情報交換ができるようにしていきたいと考えています.

2015年4月18日

EGU 2015 in Vienna, Austria

めっきりと春らしくなってきた4月中旬、わたしは今、オーストリアのウィーンに滞在しています。EGU(European Geosciences Union)のGeneral Assemblyに参加して研究成果を報告するためです。

発表内容は、河川植生に関する研究課題です。日本では河川環境を管理する上で「河川の樹林化」といわれていますが、その樹林化現象に関するモデル解析の成果になります。発表は木曜午後で、ポスター形式での発表でした。剣道有段者で植生水理が専門のドイツ人、土砂輸送が専門のフランス人、イギリス人、日本人、スペイン人など、ポスターの前に立ち寄ってもらったみなさんと有意義な議論ができました。

「河川の樹林化」の課題は、大雨のときに洪水を安全に流下させる治水と、ふだんの川らしい生態系を保全する環境管理とのあいだで、「より良い川のかたち」は如何にあるべきか?を議論するものです。これには当然、河川流域の水文・物質循環がからんでいて問題が複雑になっているのですが、その謎解きを一歩一歩するのがこの研究課題の最大の面白さです。

今回の成果はきちっとJournalに投稿して、河川の樹林化現象に対する議論を前に進めていきたいと考えています。

2014年6月30日

Tama River Basin

この4月に東京の芝浦工業大学に転任してはや3ヶ月,あっという間に過ぎました.ちょうどその変り目の3月31日に多摩川を見てまわりました.東京大学の知花武佳先生のご案内で,博士課程の原田大輔さんもご一緒です.

多摩川は源流を山梨県の笠取山(標高1,953m)にもち,東京都と神奈川県をながれて東京国際空港(羽田空港)のよこで東京湾に流入する日本の一級河川です.流域面積は1,240km2、幹川流路延長は138kmで,上流部には奥多摩湖(小河内ダム)があります.これまで観測にでかけていた揖保川(流域面積: 810km2)と加古川(流域面積: 1,730km2)のちょうど中間のサイズですね.

この日は,朝一番で訪れた多摩大橋付近の高水敷をかわきりにして,上流域にむけて車を走らせました.玉川上水の羽村取水堰,中流域での樹林化の進んだ砂州,魚道がついている白丸ダム,そして奥多摩湖のある小河内ダムまで,流域を満喫しました.小河内ダムに着いたころには夕方になっていました.そのあとは秋川温泉でお湯につかりながら河川や研究について知花先生とお話し,夕食をいただいて帰ってきました.写真は河口から約53kmの右岸砂州で,ハリエンジュによる樹林化が非常に進んだ多摩川永田地区のワンショットです.



今回の多摩川みて歩きでは,玉川上水の取水量の多さに大変驚きました!羽村取水堰から下流の流況は非常に人工的なのだな〜という印象を非常に強く感じた【みて歩き】でした.はじめての多摩川だったのですが,いつもながら河川流域のみて歩きは大変面白く,ためになります.これから関東の多くの河川流域をみて歩きたいと思っています.

2013年12月14日

AGU Fall Meeting 2013

Dr. Sybil Seitzinger mentioned a statement of Albert Einstein at the Union Agency Lecture.

"We cannot solve our problems with the same thinking we used when we created them."

That's famous and really true.

2013年8月13日

Alumni Meeting on Ibo River Basin Research Project

先週 8月11日(日)に神戸・三ノ宮で宮本研の揖保川同窓会が開かれました.2006年から続けていた揖保川での水温研究が一区切りし,それをネタに集まってみんなでワイワイと旧交をあたためました!

社会人になって数年がすぎ,責任ある事業を任されはじめた人から,新人研修をおえてこれから仕事に慣れていこうとする人まで,いろいろです.また,プライベートでは結婚して子供も産まれる予定の人から,マイペースで趣味を楽しむ人まで,これもいろいろでしたね.ビールを片手に皆さんの近況をきくことが出来て,たいへん楽しい時間が過ごせました!


菅原・浦野の両君に幹事をお願いし,参加は橋本・河内・中山・盛岡・前羽・森本・木村・宮本の総勢10名です.そのほか,揖保川の水温研究に関わったのは向・大原・萩迫の3名ですね.さらに,学生がいないときは,妻と二人の子供が家族総出で泊まりがけの観測をしました.

2004年11月に下見に出かけたのをスタートとするとおおよそ10年です.成果主義でいろいろと世知辛い世の中ですが,本当はじっくりとやっていける環境が我が国の将来を考えると必要に思います.【急がず休まず】ですね.揖保川研究に携わったみなさんも,ぜひとも弛まずコツコツとやっていってほしいと希望しています.

揖保川での水温研究は宮本のほうで内容をまとめて,しっかりとJournalにしていきます!


2013年6月4日

KesenNuma

先週の金〜土曜日,一ノ関で土木学会水工学委員会環境水理部会の研究集会がありました.

1日目が研究発表会,2日目が被災地の見学会です.

写真は,見学会で立ち寄った気仙沼でのワンショットです.地元の方々からいろいろとお話をお聞きしました.

震災からの復興は,まだまだ時間がかかりそうです.それでも,地元のみなさんが納得し,合意のもとで街や地域の再生がなされれば良いと考えました.

このたびは,首都大学東京の横山勝英先生に大変お世話になりました.ありがとうございました.

2013年3月26日

farewell and welcome

ずいぶんと暖かくなり,梅花にかわって桜がちらほらとする季節になりました.

わたしたちの市民工学専攻では昨日,新4年生が研究室配属するための説明会がおこなわれ,夜には研究室の追い出しコンパがありました.出会いと別れの季節ですね.

新しい4年生は20以上もある研究室から説明を聞いていろいろと情報が集まったと思います.もしかすると情報過多?におちいってる人がいるかもしれません.そんな人には,【案ずるより産むが易し】の言葉を送りたいと思います.

学問的にすこしでも興味をもった研究室を選択するのが結果としてベストやと思いますね.わたしの研究室では流域環境管理(river basin environmental management)や河道設計(channel design)といったことになります.

修了・卒業される研究室のみなさんは大変晴れがましい気持ちでいっぱいだと思います.【一期一会】.わたしもみなさんと一緒に研究できて大変面白かったです.今後の活躍を大いに期待しています.

2013年3月9日

Tenryu River Basin

先日、天竜川を見てまわりました。名古屋大の戸田先生のセッティングで、山口大の赤松先生、京都大の竹林先生とご一緒です。

天竜川は、源流を八ヶ岳連峰の赤岳(標高2,899m)にもち、中央構造線が縦断する山間部を流れ、遠州灘に流入する日本の一級河川です。流域面積が5,090km2、幹川流路延長が213km、流域の市町村人口が約124万人、年平均降水量が約2,000mmで、上流部には諏訪湖があります。

写真は、河口から約25kmの鹿島基準地点から上流をのぞんだワンショットです。ここより上流が山付の河川で、下流が扇状地河川となっています。

天竜川もご多分にもれず過剰な樹林化が進行していましたが、ここ数年で伐採と掘削をおこなって河道整備されたそうです。今回見たかぎりでは再繁茂はあまり進んでいないような印象ですので、整備効果は継続しているようです。ダム再編プロジェクトの予定もあり、河川環境へのインパクト評価が重要になりますね。

いつも観測にでかける加古川の流域面積が1,730km2で、揖保川が810km2ですので、比較すると天竜川はかなり大きい河川です。いつもながら河川流域の見て歩きは大変面白く、ためになります。現場に立つことの重要性をまた再認識しました!

2013年3月2日

Master & Bachelor Theses

2012年度もおわりに近づき、2月末には大学院博士前期課程の修了判定と学部4年生の卒業判定が行われました。

今年度わたしの研究室からは、修士学位が2人、学部卒業が2人です。みなさん、それぞれによく頑張ったと思います。修士論文・卒業研究を提出して、4月からは新しい歩みをはじめることになりました。

修士論文や卒業研究は、わかっている知識を習得する【講義】とちがって、わからない真実を見いだしたり、新しい技術を開発したりする【研究】行為です。ですので、トータルが3〜40点でも、真実が垣間みえたりすると立派に評価されます。また、個人の知的な実力がたいへん大きく成果に反映されます。

さて、今年巣立っていく学生諸君は、みずからの【研究】をどのように評価したのでしょうか? 彼らの今後の活躍を大いに期待したいと思います。

2013年2月26日

Colleagues

昨年あたりから同年代の研究者仲間との交流が盛んになってきました。論文や学会発表でよく存じ上げているみなさんです。

実際に時間をかけてジックリ議論すると、みなさん本当にいろんな角度から河川流域の問題を考えていることがわかります。これは大変面白いことですね。

特に、学会あとの飲み会でお酒が入ると社交性がまし、いろんなお話が聞けてとても魅力的です。昼の学会もタマにはビール片手にやったら実効性があがるぞ! と思ったりします。

次週は名城大水工学講演会です。楽しんできます!