2011年4月25日

In the Rain

2006年4月より精根こめて集めていた揖保川水温データが途切れてしまいました。このたびは出水でプローブが流失したのではなく、研究者としてのわたし自身の至らなさ・甘さが災いしたものです。これまで協力頂いた学生のみなさん、ごめんなさい。悔やんでも悔やみきれません。初心に帰って、研究姿勢を正します。

2011年4月24日

Ibo River Observation, April, 2011

昨日、今年度はじめての揖保川流域観測に出かけました。この課題を担当する大学院生の前羽君、浦野君と一緒です。

一昨日から続く降雨で水系全体が増水していて、このたびの観測では水温データは殆んど回収できませんでした。

この写真は、揖保川の支川、林田川上流部における渓流河川の様子です。濁流がすごい勢いで流下していくのがよくわかります。このように出水時には水のみならず、土砂や栄養塩が大量に下流に輸送されていきます。

すごく大雨が降ると洪水となって私たち人間にとっては非常に厄介ですが、河川にとっては自然がダイナミックに躍動し、動的な河川環境が保全されるようにビートを打つ瞬間でもあるのですね。

この流域観測も6年目に突入です。流域環境のモデル化を鋭意進めるとともに、観測については環境の経年変化を的確にとらえるために最低10年は流域にでかけるつもりです。次回の観測は五月の下旬、このたび廻れなかったサイトを中心に観測する予定です。

2011年4月22日

Vegetation Dynamics Modeling

加古川での河道内植生管理の共同研究が軌道に乗ってきました。わたしの研究グループでは、植生動態の確率過程モデルの構築と、それを用いた流域規模での樹木消長の確率評価を担当しています。

実は、この理論モデルの基礎固めには思い出があります。

たしか2001~2年の頃、当時、大阪大学の水工学研究室に籍をおいていた名古屋大の川崎浩司さんとの勉強会です。1~2カ月に一度、夕方からJR大阪駅前のホテルの喫茶店で、巌佐庸先生の数理生態学をtextにして、式の誘導を含めて読み込んでいったものです。

これにはもう一つ、あとの飲み会という楽しみもありました。ビールを片手に、これまた色々と勉強させてもらいました。

その勉強がおおよそ10年のときを経て実りはじめました。そのときは基礎勉強とおもってやっていましたので、思いもかけず、不思議なことですね。

2011年4月11日

Watershed

日本列島の降水を日本海と太平洋にわける中央分水界。その本州で最も低い部分が兵庫県丹波市氷上町石生(ひかみちょういそう)にあります。

この部分の中央分水界は氷上盆地をとおっていて、「谷中分水界(こくちゅうぶんすいかい)」と呼ばれます。日本山岳会の中央分水嶺踏査によれば、最も低い部分で標高約95mだそうです。

右の写真は、石生の「水別れ公園(みわかれこうえん)」にある分水界上の水路です。大変面白いことに、この写真の左矢印の方にいく水は由良川を流れて日本海へ、右矢印の方にいく水は加古川を流れて瀬戸内海へ流れでます。

分水界とは水がわかれる【最も高い部分を連ねた境界】のはずなのですが、それが標高100m程度と大変低いところが非常に興味深いですね。

この石生をとおして瀬戸内と日本海をむすぶルートは「氷上回廊(ひかみかいろう)」と呼ばれます。近代土木技術が発展する明治以前は、峠越えの苦労がないこの回廊を介して動植物や私たちの先祖が南北に行き交い、自然や社会が時間をかけて交絡していったようです。

2011年4月3日

April, 2011

4月、旧歴では卯月(うづき)がやってきました.卯の花が咲く頃なので、「卯の花月」とも呼ばれるそうです。

いま、日本の社会は東日本大震災により混乱が続いています。しかしながらその一方で、マスメディアなどの報道から、地域社会の復旧活動が力づよく展開されはじめたのも見聞きします。

わたしも日本の復興にむけて、いま自分自身のできる努力を着実に進めていきたいと思っています。

さて、新しい年度がはじまりました。大学にも新入生が入学し、研究室にも新4年生が入ってきました。今月のテーマは、【新たな心でスタートする】にしたいと思います。