2009年4月30日

Kakogawa River, April 2009

本日の午後、加古川の河口から23.6km上流にある砂州に河川調査にでかけました。昨年度からスタートした加古川の河道内植生に関する研究会の活動です。加古川は、兵庫県丹波市の粟鹿山を流源にして瀬戸内海の播磨灘に流れこむ、流域面積1,730km2の一級河川です。

今日は調査といっても、砂州の草刈りが主でした。この梅雨の洪水時に、植生まわりの流速をはかるための準備です。あわせて、砂州上の植生の状態も踏査してきました。 前回の秋の調査と比べて、思ったよりも変化がなかったように思います。

この写真は砂州中央から右岸側に向かってシャッターをきったものです。河川の右岸は、流れと同じ方向をむいて立ったときに、その右手にあたります。ここは河川の中なのか?と見間違えるくらい、竹林や大きな樹木、草本がたくさん繁茂しています。

非常に大きな洪水がおこると、こういった植生群落も流れを妨げ、水位を上げる流水抵抗になります。普段みられる河川生態系と、洪水時の人びとの安全・安心、これらはともに非常に大切な守るべきものです。この両者のよりよい共生のあり方を、この研究会では真摯に考えます。 わたしも【流域環境】の視点を念頭において、河川植生と洪水流のあいだの経年動態をしっかりと評価していきたく思います。

2009年4月23日

The Two Earth Days

昨日、4月22日は地球の日(the Earth Day)でした。

実はこの地球の日、二つあります。ひとつは春分の日で、もう一つは昨日の4月22日です。前者は、1969年に国連UNESCOの環境関連の会議で、ジョン・マッコーネルによって提唱されたものだそうです。一方後者は、同じく1969年アメリカの上院議員ゲイロード・ネルソンの呼びかけで、翌年の4月22日に環境に関する集まりが開かれたことに始まったそうです。

国連地球の日では、1954年に日本から国連に贈られた【日本の平和の鐘】が鳴らされます。贈られた当時、日本はいまだ国連に加盟してなく、戦後の国際社会への復帰、その道なかばのときです。日本の平和の鐘、みなさんご存じだったでしょうか?

地球の日、わたしは特に意識することなく一日を過ごしました。おくればせながら、地球のグローバルな環境と、私のテーマである【流域環境】に関連して、普段自分が思っていることをこの機会に一度纏めておきたいと思ってます。重要なことがらについて特別な日を設定し、その意味を考える時間を作ることは、とても効果的なことだと思います。

2009年4月22日

Lab Welcome Party

桜の時期がおわってグッと暖かくなり、大学でも春学期が本格的にスタートしました。

おとといの夜、お隣の道奥康治教授の研究グループとわたしたちの研究グループと合同で、歓迎会を開きました。研究グループに新しく参入してきた学生諸氏の歓迎です。

歓迎会でお話しすると、みなさんとても元気で闊達です。わたしとしては研究活動が全般的に、非常に活性化しそうな予感がしています。とても楽しみです!

わたしたちの研究グループのメインテーマは【流域環境】です。グループのみなさんといろいろと密度の濃いディスカッションを展開して、鋭意研究を進展させたいと思います。

2009年4月12日

Mowing and Cleaning with Symbiosys

きのうの朝、わたしたち家族のすむ合同宿舎では月に一回の清掃活動がありました。忙しい時期は家内や子供に任せるのですが、きのうは反対にみんな忙しく、私が清掃にでました。約30~40分程度、宿舎の方々と一緒に、周りの草や落ち葉などをとっていきます。春先ですので、この時期はそれほど草は繁茂していません。

草を刈りながら、ふと隣を見ると、咲き誇る桜の木のそばで側溝が土で埋まっていました。側溝から土を取り除こうとしたのですが、実は、そこには桜の木の根がびっしりと伸びてきていました。そして、その上には濡れた落ち葉が積み重なり、落ち葉の間にはミミズやダンゴムシ、芋虫など、子供たちが喜びそうないろいろな生き物が生息していました。

その作業の途中、ここも小さいながら一つの生態系を形つくっていることに気がつきました。そして、ずいぶんと長い間、わたしたちの生活に支障をもたらさず、また、周りの状況から大雨の時もそれほど大変なことにはならないと思われるので、ここは土に埋まったままのほうが良いと思いなおし、側溝から土を取りのぞくことを止めました。

生態系や自然環境と人間社会との共生ということをよく耳にします。こう言うと何か遠く感じるのですが、その自然共生は案外、普段何気なく日常的、習慣的に行っている身近なことの中に、実は存在することを実感しました。

2009年4月10日

Spring Semester Started

大学では今週から春学期のはじまりです。7日の入学式では、わたしたちの専攻や学科にも大勢のニューフェイスが入学してきました。みんな晴れやかな、いい顔ですね。講義などで会うのが楽しみです。

この時期、スタートアップのためのいろいろなガイダンスが設定されます。たしか、私が学生だった頃には、このように多くのガイダンスはなかったように記憶しています。いつから講義がはじまるのかもよく分からず、迷いながら講義の部屋を探し、知っている顔が集まっているのを見てホッとしたようなことを思い出します。

知らないことに対して、自ら求めて行動することの大切さを自覚した瞬間でした。

大学には、本当にいろいろな、無限の可能性が内在されていると思っています。いろいろな知識を能動的に吸収して,また、積極的にまわりの友人や教員と議論して、大学での日々の生活をぜひとも楽しんでほしいと願っています。

2009年4月5日

Danube, Mitteleuropa and Balkan

加藤雅彦:ドナウ河紀行 -東欧・中欧の歴史と文化,岩波新書、220p.、1991、を読みました。

ドナウ川は、ドイツのシュヴァルツヴァルトを流源として、中欧・東欧諸国を経て、ルーマニアとウクライナに広がるドナウデルタにて黒海に注ぎます。その長さは2,860km、流域面積は817,000 km2、平均流量は6,500m3/sです。

この本では、ドナウを源流から河口まで川にそって下りながら、沿川のドイツから旧ソ連までの8カ国(執筆当時)の歴史と文化をひもときます。ハプスブルク・冷戦・古代ローマ帝国などの歴史模様、ゲルマン・スラブ・ラテンなどの民族ルーツ、カトリック・プロテスタント・回教・正教などの多様な宗教。大河ドナウを軸に展開されるこれら歴史と文化を、「ドナウ世界」という観点から非常にやさしく論述してくれます。たいへん面白い内容でした。

わたしたちの研究グループは、現在【流域】を軸にして、将来にわたって持続発展可能な流域環境のあり方を検討しています。世界のさまざまな河川流域をみると、ほんとうにいろいろな観点からの研究展開が大切なことがわかります。

2009年4月4日

科研費

昨日、正確には4/1のようですが、文部科学省の科学研究費補助金の今年度内示がでました。今回は2件申請していたのですが、ひじょうに残念ながら採択には至りませんでした。かなり時間をかけて研究計画を立てたのですが、認められず、まことに残念です。次回の申請、しっかりと研究計画を考え直し、採択に至るようなベストのプロポーザルを作成したいと考えています。

現在わたしのおかれた立場では、教育研究費として定常的に使える大学からの予算は、10年前の1/10ぐらいになっています。その分、科研費のような、競争的資金といわれる外部資金の獲得が必要になります。科学研究費関連の予算は年々伸びていっているようですから、極端に資金を得ている人と、まったくもらえない人に二極化していっていると考えられます。国の将来基盤をつくっていく、大学のような高等研究・教育分野においても、他の分野と同様に、格差社会に遷移していっているようです。

ユークリッドは学問に王道なしと言いましたが、まさしく、研究や教育には時間をかけなければ到達できない部分が大きいように思います。地道に教育・研究をおこない、研究論文を世界へ向けて公表し、そして成果を蓄積する。わたしたちも、そのような日々の営為をしっかりと、リズムをもって行っていきたいと考えています。

2009年4月1日

April, 2009

今日から4月です。出会いと別れの季節ですね。

昨夜は、同じ宿舎で非常に仲よくしていただいたご家族が愛媛に移られるので、夕食をともにしました。お好み焼きパーティです。旦那さんは大学教授としてご栄転です。数学の本流に戻られるとのことで、まことにおめでとうございます。また、3人のお子さんには、うちの子供といろいろと仲良くしてもらって、本当にありがとうございました。

今日は、わたしたちの研究グループに3人のnew facesが来ました。現メンバーとともに、今年度もいろいろと活発に活動できそうな予感です。お互いに研究を楽しみながらBestを尽くしましょう!

この4月のテーマは、【基礎とリズム】です。